長友選手の名言に学ぶ! 夢を公言して才能を花開かせる力
日本代表、そしてイタリアのビッククラブ・インテルの一員としてサイドを疾走する長友佑都選手は、大学時代、椎間板ヘルニアを患い、一度はサッカーを諦めかけた選手でもあります。小学生の時も地元愛媛FCのセレクションに落選、スポーツ推薦を受けることなく大学まで歩み、決してエリート街道を歩んだわけではない長友選手が、今や世界を代表するサイドバックになれた理由はどこにあるのでしょう? ▇▇▇▇▇国内最大級オンラインサッカー用品通販サイト ▇▇▇▇▇当サッカーショップは ▇▇▇▇▇サッカーユニフォーム ▇▇▇▇▇サッカースパイク等のサッカーグッズを販売しています MKP_4908_600.jpg 先日、アジア・サッカー連盟(AFC)年間国際最優秀選手賞に選出されたばかりの長友選手の名言から「夢を実現する力」を紐解いていきましょう。 「自分の夢を人に伝えることは、決して恥ずかしいことではない」 ■夢を公言し続けた子ども時代と母の助け 小学生の時の長友少年の夢は「Jリーガー」になることでした。日本代表選手というと、子ども時代からその才能を注目され、地域では”神童”として過ごしたイメージがあるかもしれませんが、当時の長友選手は身体能力こそは高かったものの、地元の愛媛FCジュニアユースへの入団はかなわず 。公立中学に進むことになります。中学では目標を見失いゲームセンターに入り浸った時期もあったようです。このことは本人やお母さんが後に語っていることですが、長友選手は決して順風満帆とはいえないサッカー人生の中で「夢を公言すること」「それに向かって努力すること」だけはやめませんでした。 「何かあったとき居場所がわかっているから安心ですよ」 練習に身が入らず、反抗期を迎えた息子がゲームセンターに入り浸っている。そんな状況で、長友選手の母・りえさんは心配する周囲にこんなことを言っていました。シングルマザーとして3人の子どもを育てたりえさんはメディアでお見かけする姿でも知られるようにとにかく明るい性格の持ち主です。「内心は反抗期にビクビクしていた」と振り返っていますが、本人が「ゲームをやっていても仕方ない。サッカーをやらないと」という気持ちになるまで待とうと決めていたそうです。 ■努力する才能さえ努力で身につける! 継続から生まれる力 中学では恩師との出会いもあって、再びサッカーに情熱を向け始めた長友選手。東福岡高校を経て、明治大学に進学します。大学では入部まもなく椎間板ヘルニアを患いボールを蹴ることすらままならない日々。“太鼓係”として過ごした時期があったことは有名な話です。ここに至るまでにすでに数多くの挫折を経験した長友選手は、大学3年までほぼ無名。いまの活躍を想像していた人は、実は長友選手本人を含めて、皆無と言っていいほどでした。 長友選手も言っています。 「僕は豊かな才能を持ったサッカー選手じゃない。だからこそ、人の何倍も努力しなければ、上へは行けない。僕から努力をとったら何も残らない」 「努力する才能」とよく言いますが、長友選手は、この努力の才能すらも、もともともって生まれたものではなく、意思と継続によって育てられるものだと言っています。 インターセプトをしたかと思えば、次の瞬間には相手ゴール迫る勢いで前線に出没し、味方がボールを失えばいち早く守備に戻る。驚異の運動量とスピードで世界を驚かせている長友選手は、実は中学校3年までは「走るのが苦手」でした。自分でも足が速いとは思っておらず、たまたま駅伝の練習で走り込みをするようになり、それを続けていたらスピードもついてきたというのです。才能を自分で限定するのではなく、努力によって引き出していく長友選手の流儀はこの頃から身についていったのです。 MKP_5200_600.jpg ■長友佑都が成長し続けられる理由 「大切なのは才能を呼びさますこと。僕自身、自分の中にまだまだ凄い才能が眠っていると信じている」 Jリーガー、日本代表、海外ビッククラブで活躍……。次々に夢を叶えていった長友選手が、現在もどんどん成長を続けられる背景にはこうした考え方があるのです。 長友選手は、周囲の評価に関係なく、常に夢を持ちつづけ、それを公言してきました。誰に何を言われても、時には笑われても夢を口にすることをやめませんでした。 目下の長友選手の夢は「世界一のサイドバックになること」そして「W杯で優勝すること」。 長友選手は「Jリーガーになる」と公言していた小学生時代「21世紀の夢」と題した作文にこんな一文を残しています。 「僕の夢はイタリアで自分の好きなサッカーをすることです」 当時の彼が「ひとまずJリーガー」と思っていたのか、三浦知良選手の移籍などで「世界最高峰」とされていたイタリア・セリエAの名前をなんとなく挙げたのかは定かではありませんが、その夢がいままさに現実になっていることは紛れもない事実です。 夢を見ること、夢を誰かに言うこと、宣言することはなかなか勇気のいることです。長友選手はその時の自分の状況にかかわらず夢を公言することで自分を奮い立たせ、自分で描いた夢に追いつき、そして追い越すことでさらに大きな夢を叶えてきました。 「世界一のサイドバックになる」 究極の夢の実現のために長友選手は今日も汗を流しています。 ▇▇▇▇▇国内最大級オンラインサッカー用品通販サイト ▇▇▇▇▇当サッカーショップは ▇▇▇▇▇サッカーユニフォーム▇▇▇▇▇サッカースパイク等のサッカーグッズを販売しています 大塚一樹(おおつか・かずき)// 育成年代から欧州サッカーまでカテゴリを問わず、サッカーを中心に取材活動を行う。雑誌、webの編集、企業サイトのコンテンツ作成など様々 な役割、仕事を経験し2012年に独立。現在はサッカー、スポーツだけでなく、多種多様な分野の執筆、企画、編集に携わっている。編著に『欧州サッカー6大リーグパーフェクト監督名鑑』、全日本女子バレーボールチームの参謀・渡辺啓太アナリストの『なぜ全日本女子バレーは世界と互角に戦えるのか』を構成。 文/大塚一樹 写真/松岡健三郎
W杯まであと7ヵ月。岡崎慎司が語る代表への強い思い「あのチームで勝ちたい」
取り戻した得点感覚
11月24日の13-14ブンデスリーガ第13節・ブレーメン戦で今季2度目の1試合2ゴールをマークした岡崎慎司(マインツ)。1点目は右サイドバック・ポスビエフのシュート性のクロスがバーを直撃し、こぼれ球を確実に詰める形。
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2点目は後半から右サイドバックに入っていたベルのクロスに鋭く反応。スペースに飛び込み、右足を合わせるという岡崎らしい得点だった。相手が猛攻をしかけてきた時間帯の1点で、チームの勝利に直結する決勝点だった。
「いいボールが入ったんで決めないと。特に2点目はそう。1点目は結構難しいと思ったけど、思い切り振り抜いたら入ったんでよかったです。やっぱり1トップの利点はあると思う。シュツットガルトの時だったら、イビセビッチみたいに全然よくない時でも1点取れるFWがいた。それを僕も参考にしています。
サイドハーフは走りこんで疲れてくるイメージがあるけど、FWは点を取れば監督にOKって言われる。その前に味方にボールを出さなくて怒られていたので、点が入って精神的にもラクになりました」
今季から新天地・マインツへ移籍した岡崎は開幕のシュツットガルト戦で移籍後初得点を挙げたが、その後8試合ゴールがなし。10月の日本代表2連戦直後のバイエルン・ミュンヘン戦ではスタメン落ちを強いられ、危機に瀕したかに見えた。
しかし1トップで起用された10月26日のブラウンシュバイク戦でドイツ移籍後初の1試合2得点を記録。ここまでの不完全燃焼感を完全に払拭する。そして11月代表2連戦でもベルギー戦で決勝ゴールを挙げ、勢いに乗ってチームに戻り、今回の活躍につなげたのだ。
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「(南アのときは)ムリしていた」
「2ケタ得点? ぜひ行きたいですね。このポジション(1トップ)はうまくいかない時も点取るっていう気持ちでいれば、メンタル的にもあんまり狂わずに行けると思うし。
クラブにいても代表にいても、自分のリズムを大事にすることが大事ですね。代表の選手たちは足元うまかったり、テクニックあったりするけど、自分のよさはそこじゃない。違う色を出すようにいつも心掛けますけど、それはクラブにいても同じ。そう考えていれば、ミスした時でももう1回走れる。今はいい状態でサッカーできていると思います」
ドイツ4年目となるこのシーズンが終わった後には、岡崎にとって2度目となるW杯・ブラジル大会が待っている。前回の2010年南アフリカW杯では、大会直前に1トップから外され、スーパーサブに甘んじた苦い経験があるだけに、2度目の世界舞台への思いは強いはずだ。
「前回はやっぱりムリしていたし、気持ちを強く持たなきゃみたいな感じてやっていた。自分のやりたいことと、チームが求めている1トップが合っていなかったし、1トップの自分もいい時はいいけど、中央でボールを当てられた時のイメージがあんまりなかった。
後追いでサッカーやっていたのが多すぎて、全然楽しめてなかったですね。外されたことも冷静に受け止めていた。その中でも絶対にやれることはあると思ったし、デンマーク戦でゴールも取りました。でもあの時に海外でやらなきゃいけないって思ったんです」
「頑張ることは大切だけど、頑張りすぎもよくない」
あれから約4年が経過し、岡崎自身もシュツットガルトで2年半、マインツで半年プレー。海外の厳しさや難しさを実感しながら1つひとつハードルを乗り越えてきた。ブラジルには代表の中心として行きたいという思いも少なからずあるが、今は逆にどんな役割でもいいからチームのために戦って、日本を勝たせたいという気持ちも強まったという。
「自分の中では途中から出ようが何だろうが、チームのために戦える準備はしています。それくらい代表が好きっていうことですね。みんなのこともすごい好きだし、サポーターの期待もうれしいし、あのチームで勝ちたいと思うから。
海外にいると、試合に出られない選手がすごい態度で出したりすることも多いけど、僕はそうなりたくない。日本としてW杯で1つの大きなことを成し遂げたいんです。
そういう中で、自分がいいプレーをするためには、やっぱり要求なのかなと。自分のほしいところにどれだけ出してもらえるかが大事だから。南アの頃はみんなが苦しくて、苦しい状態でボールが来るという感じで、それで(本田)圭佑がはまった感じだった。
でも自分も違うやり方をしていたらはまってかもしれないと思うんです。今だったら大雑把なボールでもいいから前に出たボールを自分が頑張ってキープするとかもある。自分のリズムでやれると思うんですよね。
1回ミスしてもとにかくブレないこと。『ああ俺、チームの足引っ張ってる』とか『ミスしたら試合に出れなくなる』とかいう雑念は捨てて、自分のペースでやっていくこと。それが一番だと思います。
自分のやっていることが結果的にチームのためになるのが理想ですね。頑張ることは大切だけど、頑張りすぎもよくない。ノープレッシャーでW杯に行きたいですね」
W杯が迫ってくれば、選手たちには凄まじいプレッシャーが押し寄せる。それを1度経験していることは大きな強みだ。ザックジャパンには岡崎を筆頭に、南アの紆余曲折を知る者が主力選手に多い。その貴重な経験を糧に、岡崎には今回こそ大きく羽ばたき、世界の岡崎になってもらいたい。
text by 元川悦子
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本田、ホーム最終戦へ 監督は「タイトルは彼の貢献によるものだった」
CSKAモスクワは27日、チャンピオンズリーグ(CL)・グループステージ第5節でバイエルン・ミュンヘンと対戦する。年内ホーム最終戦を前に、レオニド・スルツキ監督は、MF本田圭佑のこれまでの貢献をたたえている。
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バイエルン戦を終えると、CSKAはリーグ戦の2試合とCLグループステージ最終節のビクトリア・プルゼニ戦をアウェーで戦う。アレナ・ヒムキでの一戦は、1月のミラン入りが濃厚とされる本田にとって、4年を過ごしたCSKAでのホームでの最後の一戦だ。
スルツキ監督は前日会見で、本田について次のように話している。
「本田は我々のチームで4年を過ごした。そしてその間、我々の快挙のすべてにおいて、彼は大きな役割を担ってきた。彼はキープレーヤーだった。我々が獲得してきたすべてのタイトルは、彼の貢献によるものだったんだ。彼はすぐに我々の元を去るが、試合に完全に集中しているよ」
また、対戦相手のバイエルンDFダニエル・ファン・ブイテンは、本田についてこのように語った。
「本田はとても良い選手だ。僕らは彼に仕事するためのスペースを与えないよう、しっかりと注意しなければいけない。彼にゆっくりとボールを持たせてはいけないんだ」
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国際親善試合 ベルギー2-3日本 その1「ベルギーに逆転勝ち」
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ザック監督の攻撃力アップが生きた
――オランダと2-2で引き分けた後、テレビのインタビューで選手たちは勝てなかった悔しさを語りました。その気持ちがベルギー戦でも出ましたね
賀川:高いレベルのチームを作るためには、まず自分たちの攻撃力に自信を持つことが大切です。どんなに押し込まれても、そのうちに1点取れるとか、うちのチームはどんな相手からでも2点は取れるのだという希望がなければ、労の多いサッカーのようなスポーツを90分戦って勝つことは難しいはずです。
――その点を取る形、あるいはコースをつくるというのが日本の攻撃力アップにつながるとザック監督は唱え続けてきた
賀川:2010年ワールドカップの時にあらわれた本田圭佑を軸に、香川真司を加え、徐々に攻撃陣が整ってきた。新しく柿谷曜一朗と大迫勇也がトップをつとめるようになった。清武弘嗣と岡崎慎司がその個性をチーム戦術のなかで発揮するようになってきた。もちろんボランチや両サイドの能力アップもあってのことだが、攻撃力は増してきた。
――ところがアジア予選以降の試合で、まずコンフェデレーションズカップの対ブラジル、対イタリア、対メキシコで3連敗の洗礼を受け、キリンチャレンジの対ウルグアイでは完敗したが2得点した。グアテマラ(3-0)とガーナ(3-1)という適当な相手との国内強化試合で、点の取り方を積み重ねた
賀川:ただし、その後の対セルビア、対ベラルーシの東欧シリーズで1ゴールもできず2連敗した。
チーム全体に気迫が出てきた
――メディアの論調も厳しくなった。出場できない選手の不満の声も出ていたとか
賀川:こんどの2試合は相手がオランダとベルギー。欧州でもスペイン、イタリア、ドイツに次ぐランクだから、選手たちにも危機感と緊張感があった。
――もちろんザック監督にも
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賀川:ザックさんは勝っても負けても攻撃力アップの姿勢を変えず、チームも常に攻撃を志向し、前がかりの試合をしようとした。
――東欧シリーズはそれでも無得点でした
賀川:日本のサッカーはボールをつないで攻める。そのためにはまず走らなければならず、攻撃に人数をかけるから、展開途中でボールを奪われるとピンチになり、それを防ぐためにもまた余分に動くことになる。
――ランプレーが大切ですね
賀川:サッカーは本来楽しいものだが、勝つためにはまず「しんどい」が当たり前にならないと日本流は生きてこない。
――敏捷性を生かすためにも…
賀川:そのためにはコンディションが大切で、また試合中あるいは前・後半での選手の交代もチームがいいコンディションで試合をするために必要となるのです。
――対ベルギー戦のメンバーはオランダと違ったものになった
賀川:オランダ戦はGKはいつもの川島ではなく西川周作でした。ゴールキーパーはDF陣との連携が大切だから、控えにも実践の経験を積ませることが大切なのでしょう。DFは足の具合のよくない長友に代えて酒井高徳、右は内田に代えて酒井宏樹にした。CDFは今野を休ませ、森重真人を起用して吉田と中央でペアにした。サイドバックは長い距離を走ると同時に、ポジションプレーの習熟も身につけやすいところだから、若い二人の台頭を監督はチャンスと見たのでしょう。
――選手の競争心をかき立てるのにもよかったという声が多かった
賀川:ボランチは長谷部誠と山口螢。
――トップに柿谷を置き、第2列は清武、本田、香川でした
賀川:岡崎でなく、清武を持ってきたのは柿谷との相性を見たかったのでしょう。
――そういえばこの前に柿谷をCFに置く時の清武の話を賀川さんはしていましたね
賀川:パスのうまい彼が柿谷とどう組むかは誰もが見たいはずです。
――その先発メンバーで早いうちに失点しました。川島のポカと言えますね
賀川:ベルギーはキックオフ直後にロングボールを送って激しく攻めてきた。ミララスが右から中へドリブルして左足シュート(CDFに当たり、GK川島が取る)もあった。ベルギー側はやる気満々という感じだった。
ベルギーの速攻
賀川:日本の早いテンポのパス攻撃を受けて、日本ボールの時のベルギー側の攻から守への切り替えが早くなった。すると日本は横へパスをし、第3列から攻めを始める。そのボールを日本の攻撃陣が受けるところをつぶしにかかった。ファウルを含むタックルは厳しいものだった。80年のヨーロッパ選手権ではじめてベルギーが欧州の大会で上位で争うのを見て以来、この国の代表には親近感を持っているが、ホールディングやプッシングが多く、かつての激しいがフェアな印象と違っていたね。
――日本側も激しくいって、ファウルも多くなった。はじめの15分は日本の方がファウルを余計に取られた
賀川:接触プレーの相手の絡み方か、こちらはファウルをしても目立ってしまう。それでもファウルになってもつぶしに行こうという姿勢は気迫を見せていてよかった。
――そのつぶし合いのなかから15分のベルギーの先取点が生まれた
賀川:14分に左から香川が中へドリブルして、逆へ振ろうとしたとき、ぶつかられてボールがこぼれてから、1分間に3度ばかり取ったり取られたりの状態になった後、アザールが日本DFの裏へ長いボールを蹴った。
――原則通り…とテレビを見て言っていましたね
賀川:右サイドの酒井宏がドリブルしてすぐ前の本田にパスを送った。ボールが弱くて、受けるところをフェルメーレン足を出してインターセプトし、そのボールがアザールの足元へのパスとなった。アザールは右足のタッチでコントロールし、森重を背にして半身の構えからスルーパスを蹴った。ハーフウェイライン手前3メートル、センターサークル外2メートルの位置だった。アザールがトラップした時、ハーフウェイラインの8メートル日本側センターサークル近くにいたルカクがスタートし、左前方のスペースへ向かっていた。
80年来の「またか」
――ボールは左の広いスペースへころがり、俊足のルカクが吉田の追走より早くペナルティエリア左角近くでボールを取った
賀川:驚いたのは、川島がゴール前からそのペナルティエリア左角外まで飛び出してきたことだった。
――川島は自分が取れると思ったのですかね
賀川:90年ワールドカップでコロンビアのGKイギータのエリア外へ出ての守りが話題になったが、彼の場合は広い守備範囲が看板だったからね。今回は川島の判断よりもルカクの足の方が早かったし、スペースもあって、ルカクの方が有利だった。
――普通は切り返したくなるのに、ルカクはそのまま縦に川島を(吉田も)はずし、中へクロスを入れた
賀川:いくらルカクが早くても川島と吉田と2人でコースを限定すれば、クロスが来ても日本のDFの誰かが防ぐはずなのだが…
ゴール正面に戻っていた酒井高徳の背後からミララスが走りこんできて、酒井の前(ニアサイド)に入って左足で無人のゴールに押し込んだ。
――テレビに映ったザック監督の顔は「またか」という感じでしたね
賀川:私のような古いサッカー人には、1930年の対中華民国戦以来の「またか」ですよ。相手の突進力で日本の守りか個人力が対応できずに失点するのは、日本代表の「伝統」か「宿命」の一つでしょうね。
――アザールの縦パスに何か言っていましたね
スルーパスの定石
賀川:スルーパス、相手のDFラインの裏へ狙うパスを出す典型的なタイミングの一つだったからです。先のウルグアイ戦で1点目を取られたのも、DFからの裏へのロングパス、それを蹴るときの構えが、後方へ戻るようにして反転キックした左足のパスです。この時にも話したはずだが、2006年にオランダの試合を見たとき、ロッベンが裏へ走り、それへ出したファン・ペルシーのキックが体を横に向けたまま(前へ向かずに)左足でボレーだったことを覚えています。ライカールトも同じ形でスルーパスを出していたのを見ました。前を向いてからパスを出すのではなく、横向きのまま蹴るところにスルーパスの効果があるのです。
――それを受ける側もわかっていて早いスタートを切りましたね
賀川:サッカーの定石のひとつなんですが、その早いタイミングのオープンスペースへ足の速いルカクが来たことで、日本側があわてたのかもしれない。
――相手のDFのキックの姿勢をもっと注意して見ることですね。日本代表はこのブログを読んでいるのかな。まあそういう「またか」があっても、くじけないところが、このシリーズの日本代表だったと言えますね
岡崎、2発!“弾弾”見えてきた欧州初2ケタ
◆ドイツ・ブンデスリーガ ブレーメン2─3マインツ(24日・ブレーメン) マインツのMF岡崎慎司(27)が、ブレーメン戦で3試合ぶりの2ゴールを挙げ、3―2の勝利に貢献した。19日には日本代表の欧州遠征、ベルギー戦で鮮やなダイレクトシュートを決めており、自身にとっては2戦連発。一昨季にマークした7ゴールの自己最多記録更新だけでなく、渡欧後初の2ケタ得点も視界に入る。
前半17分、DFボスペフが放ったミドルシュートがクロスバーを直撃した。その先に岡崎がいた。はね返りにタイミングを合わせて左足でダイレクトシュート。ゴール右すみへ突き刺し、2―0とリードを広げた。後半25分には右サイドを突破したDFベルからの右クロスに走り込み、GKの位置も見極めて左足で確実に決めた。終盤に2ゴールを返されて3―2で逃げ切り勝ち。岡崎の2点目がものをいった結果になった。
「1点目は結構難しいと思ったけど、思い切って振り抜いたら入った。2点目は、良いボール(パス)が入ったんで、あれは決めないとね」と満足そうに振り返った。今季5点目は渡欧後最高のペース。「FWになってから点を取っているというのは自分にとって大きい。そこで点が取れてなかったら言い訳できないが、このポジションでずっと我慢して使ってもらっているから、やっぱり点を取らないと」。MFでの起用が続き出番とゴールが減っていたシュツットガルトから、FWとして引き抜いてくれたトゥヘル監督に感謝した。
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日本代表のベルギー戦からは2戦連発。「クラブでやってきた過程を代表でも出せた。自分の色を出すことを、こっちでも代表でも心掛けている。ミスしたときにもう一度走れるとか。それがいい状態でサッカーをできているという実感」。クラブから代表へ、代表からクラブへ。プレーでの自信が好循環している。
「前半戦で5点取れればいいなと思っていた。きょう2点を取れた。もうちょっと取れるようにしたい」と岡崎。「2ケタ? いきたいですね」。大切なW杯イヤー。現代表で最多の36ゴールを誇る点取り屋は加速を続ける。
デンマーク代表監督:「日本はダークホース」
ベルギー遠征の2連戦により、アルベルト・ザッケローニ監督率いる日本代表の評価が高まっているようだ。デンマーク代表のモルテン・オルセン監督はドイツ『キッカー』が連載する“キッカー・コラムニスト・サークル”で、日本代表を2014年ブラジル・ワールドカップ(W杯)のダークホースに挙げた。
“キッカー・コラムニスト・サークル”は、元イタリア代表DFジュゼッペ・ベルゴミ氏、フランス代表のディディエ・デシャン監督、ベルギー代表のマルク・ヴィルモッツ監督らが執筆している連載コーナーだ。そして25日に発売された『キッカー』では、オルセン監督がコラムニストを務めている。
現役時代にベルギーのRSCスランに在籍した経験を持つオルセン監督。今回執筆したコラムではW杯欧州予選プレーオフの結果を振り返り、最後に日本代表について記している。
「私の第二の故郷であるベルギーで、2度にわたってアジアの選手たちを研究する機会が与えられた。彼らはヴィルモッツが率いる野心的なベルギーとオランダとの試合を支配したんだ。このチームには注意しなければいけない。私にとっては(W杯の)ダークホースだ」
2010年南アフリカW杯で日本に敗れたオルセン監督だが、現代表チームのことを高く評価している様子だ。なお、デンマークはW杯欧州予選グループBを2位で終え、ブラジルW杯出場を逃している。\
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